オフィスの構造が、実はそこで働く人の仕事や健康に大きな影響を与えているということをご存じでしょうか。
オフィスのタイプは大きく分けてふたつあります。
オープンタイプのものとプライベートタイプのものです。
これまで、オープンタイプのオフィスはたくさんの会社で採用されてきました。
働く人同士のコミュニケーションが取りやすいことと、動き回りやすいことが主な理由です。
空間を共有するため、意見の交換や問題の解決も容易で仕事の効率が上がることが期待されて採用されています。
プライベートタイプのオフィスというのは、いわゆる個室型のオフィスのことです。
そこで働く人それぞれの空間が壁で仕切られることにより個人のスペースが確保されています。
会社側のコストが高くつくことや、日本人的な価値観などもあって、このタイプのオフィスを採用する会社は限られているようです。
では、実際にはどちらのタイプのほうが良いといえるのでしょうか。
最近、いろいろな研究が行なわれて面白いことがわかってきました。
オープンスペースのオフィスでは集中力が下がる
例えば、神経科学の専門家であるジャック・ルイス氏は、多くの人が忙しく働くオフィスの中で被験者たちの脳波を測定しました。
この実験での結果は、人の集中力はオープンスペースでは下がってしまうということを示していました。
周囲の様々な音によって脳の働きが妨害されていたのです。
本人は集中力がなくなっていることに気付いていなくても、脳のレベルでは周囲の状況に反応して注意散漫になっているということです。
オープンタイプのオフィスは健康に悪い
健康面に注目して研究を行なったのは、オーストラリアのクイーンズランド工科大学の研究チームです。
この研究によると、騒々しい職場で働き続けている人は、そうでない人と比較して、極度のストレスや疲労を感じやすく、高血圧やインフルエンザなども発症しやすいということです。
こうして、オープンタイプのオフィスは健康的ではないことがわかってきました。
プライベート空間は集中力が増す
では、プライベートタイプのオフィスについてはどのようなことがわかっているのでしょうか。
エクセター大学の心理学者クレイグ・ナイト教授は、ある被験者たちにオフィスの個室を自分好みに飾り付けてもらい、そうしない人たちと比較するという実験を行ないました。
この実験では、興味深い結果が得られました。
自分なりに飾り付けを行なった個室では、仕事の生産性は15%上がり、満足度に至っては32%も上がったのです。
プライベートタイプのオフィスにおいて、写真や植物などをうまく飾ることで自分の空間を作ると、精神的に落ち着く効果が得られるだけでなく、集中力も増すということです。
結果的に効率は上がるのです。
オフィスワークの効率を上げるにはプライベートタイプがおすすめ|オープンタイプでは集中力や健康が低下する まとめ
仕事の生産性、健康面、満足度など多くの点でプライベートタイプのオフィスのほうに軍配が上がるようです。
これからは、日本でも多くの企業がプライベートタイプのオフィスを採用する時代が来るのかもしれませんね。
→誰かの視線が気になる!~他人に見られているという心理は脳の誤認だった~