普段、何気なく飲んでいるコーヒーですが、お米や小麦などの農作物と同じように、いろいろな品種があるのをご存知でしょうか。
コーヒーは、およそ22℃前後の温暖な気候と、年間平均降水量1500mm~2000mmほどの安定した降水量がある地域が栽培に適していると言われ、現在、60ほどの国や地域で栽培されています。
ざっくりと大きく分類すると、コーヒーの品種は2つあります。
アラビカ種とロブスタ種です。
それぞれ特徴があり、風味の傾向もかなり異なっています。
アラビカ種(ARABICA)
原産地はアフリカのエチオピアです。
現在は世界中のいろいろな国で生産されています。
中南米ではブラジルやコロンビアなどで、アフリカでもエチオピアをはじめとして各国で栽培されています。
ハワイやインドなどでも生産されています。
世界のコーヒー生産量のおよそ70%がこの品種です。
アラビカ種の特徴は、比較的高地(標高1000m~2000m)での栽培に向いていることですが、病気や害虫、乾燥や霜に弱く、栽培がなかなか難しい品種です。
それでも、香りに優れ、上品な酸味も持ち合わせていることから、高品質なレギュラーコーヒーの原料として人気があります。
通常、レギュラーコーヒーといえばこの品種です。
生豆の形はややつぶれた感じで、楕円形をしています。
価格は高めで、希少なものでは100gあたり何千円もすることもあります。
アラビカ種から派生した品種
実は、アラビカ種の中にもさまざまな品種が存在します。
品種改良なども積極的に行なわれていて、現在200を超える品種があると言われています。
あまりに品種が多いため、同じ地域で生産されていても品種が異なる場合もあり、流通段階で品種が混ざってしまっていることも少なくありません。
もちろん、そのようなことがないようにきちんと管理されているものも手に入ります。
アラビカ種の品種で有名なものにはブルボン種やティピカ種などがあります。
ブルボン種にはカツーラ種やアマレロ種など、さらにたくさんの派生品種もあります。
こうした品種の違いがまたそれぞれ独特な味わいをもたらすのです。
ティピカ種(TYPICA)
ブルボン種とともに2大在来品種として知られています。
クリーンでフローラルな香りが特徴です。
柑橘系の明るい酸味とやわらかい香味をもちます。
ブルボン種(BOURBON)
アラビカ在来品種のひとつでティピカの突然変異種です。
重厚な香味で華やかな酸味と甘味が特徴です。
ケニアなどの高品位の豆にみられます。
カトゥーラ種(CATURRA)
小型、すなわち矮性種の代表格で、ブルボン種の突然変異種です。
標高の高い産地では明るい酸味とコクが特徴となりますが、在来種に比べると酸味は単調ともいえます。
パカマーラ種(PACAMARA)
エルサルバドルで開発された大粒のコーヒー豆です。
生産量が少なく、世界でも注目されています。
スッキリとした明るい酸味が特徴です。
ムンドノーボ種(MUNDONOVO)
ブルボン種とスマトラ種の交配種で、ブラジルを代表する品種です。
環境に適応し、酸味、甘味、苦味のバランスがよい品種です。
ゲイシャ種(GEISHA)
生産性が低いため非常に貴重な品種です。
香りが強く、爽やかな酸味が特徴です。
ゲイシャ種の個性的な味わいが世界で注目を集めています。
ロブスタ種(ROBUSUTA)
カネフォラ種とも言いますが、コーヒー業界では一般的にロブスタ種と呼ばれています。
原産地はアフリカのコンゴです。
現在では、アフリカの各地で、またインドネシアやベトナムなどの東南アジアや、トリニダードトバゴなどカリブ海の島々でも生産されています。
世界のコーヒー生産量のおよそ30%がこの品種です。
ロブスタ種の特徴は、比較的低地(標高1000m以下)での栽培に向いており、病気や害虫に強いうえ、成長が早くたくさんの実がなることです。
生豆の形は丸くて大粒です。
味としては苦味が強く、酸味はほとんどありません。
油分も多く含まれ、やや泥臭い風味と評されることもあります。
カフェインも多めです。
価格も安いことから、ロブスタ種は主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料として使用されます。
安価なレギュラーコーヒーの原料として使われることもあります。
味や香りに関してはアラビカ種には及びませんが、独特の荒々しい風味を好む人もいます。
まとめ
いかがでしょう。
コーヒーの品種にも注目してみると、よりコーヒーの世界の奥行きが増すような気がしませんか。