お酒を飲んでも嫌なことを忘れられない ~飲酒による記憶能力の高まり~

お酒をついつい飲みすぎた後でどうやって家に帰ったかわからない、どんなことを話したのかさえ記憶がすっ飛んでしまうことって一度は経験したことがあることと思います。

また、お酒を飲みながら友人と話すことでストレス解消となり、記憶も飛んでスッキリしたいという方もいるはず。

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この記憶が飛ぶということを利用して、失恋や会社でのストレスや失敗などの自分にとって嫌な事を忘れるためにお酒を飲んだ経験はありませんか?

実は、この飲酒によって嫌な事を忘れるという行為は、どうやら逆効果だという研究結果が発表されました。

 

二つの記憶能力

gatag-00000804人の脳には、140億個もの細胞があると言われています。

この細胞は、成人になると1日に10万個ずつ減っていくといわれており、これが老化の原因とも考えられています。

しかし、この1日に10万個という数字は平均的なものであり、アルコールの過剰摂取によりこの減少度合いは加速するといわれており、飲酒するだけで1日に60~80万個死滅するという説もあるほどです。

さて、普段私たちが考える記憶とは、表層意識での記憶のことを指します。

表層意識の記憶は、主に人や場所の名前などの情報のことで、よくお酒を飲んでどうやって帰ったかわからないとか、誰と喧嘩したかわからないなど、飲酒しているときにこの表層意識の記憶能力は低下するので記憶があいまいになってしまいます。

しかし、私たちは潜在意識でも物事を学習したり、記憶したりしているのです。

潜在意識の記憶は、飲酒による楽しかった記憶などを主に指し、飲むほどに摂取能力が高まると共に依存症に陥る危険性を含んでいます。

アルコール依存症については「アルコール依存症の若年化が社会問題に!」の記事をご覧いただくとして、この潜在意識の記憶能力は、飲酒すると楽しかったとか気持ちよくなったというような情報を潜在意識の中で記憶することで、トラウマなどもこれにあたるケースがあります。

このように私たちの記憶には表層意識と潜在意識の二つの記憶能力があり、それぞれ別の情報を記憶していることがわかります。

 

潜在記憶能力の高まり

20100220-1259461飲酒によりアルコールを摂取すると表層意識での記憶能力は低下し、物忘れが激しくなりますが、逆に潜在意識の中の記憶能力は高まると発表したのはテキサス大学の神経生物学者、森川均氏です。

森川均氏の研究結果は、飲酒により頻繁にアルコール、特にエタノールを摂取していると脳のシナプス可塑性が高まり、学習・記憶能力が高まるというのです。

つまり、人がアルコールを摂取したり、麻薬を服用したりする時、潜在意識ではそういった物への摂取能力が高まっているだけでなく、その時に食べた物や心地よかった音楽、楽しいひと時を過ごした仲間たち、友人と話をした内容、社会的状況などに関する記憶や習性は、潜在意識の記憶として形成されやすくなっているということです。

飲酒により人の名前を忘れたりその時の記憶が曖昧になったりと表層意識における記憶力が下がるのですが、逆に潜在意識における記憶力はアルコールによって高められ、辛かったことを忘れようとしてアルコールを飲んだ記憶が潜在意識の中で蓄積され、逆効果になるというのです。

 

ドーパミンの効果

nounai_001飲酒によりアルコールを摂取すると脳内でドーパミンが分泌されます。

ドーパミンは、幸せ伝達物質や喜び伝達物質とも呼ばれ、楽しかった記憶を運ぶ学習情報伝達物質です。

飲酒に伴う友人との楽しい会話や好きなものを食べるという楽しい行為により、ドーパミンは更に分泌されます。

この結果、飲酒時の潜在意識の記憶能力は、一段と高まっているといえます。

 

お酒を飲んでも嫌なことを忘れられない まとめ

お酒の力を借りて忘れるといいますが、逆効果だったようです。

潜在意識での記憶ということを考えると、意図的に思い出せるというものではなく、また意図的に忘れることもなく、潜在意識の中で蓄積されているのでしょうか。

潜在意識から悪い記憶を消すのではなく、お酒に頼らずとも新しい良い記憶で塗り替えるといったことはできそうです。

しかし、楽しいお酒を飲もうとBGMを流しては絶対にいけませんよ!

BGMを流しながらお酒を飲むと味覚が変わるというのです。

お酒は美味しく、そして楽しく飲めたほうが良いですが、良いことばかりとは限りませんから。

→音楽で変わる味覚と飲酒量! ~酒の味は味覚ではなく精神で味わう~

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